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ここ最近、大変ありがたいことに、ファシリテーターやカウンセリングのお仕事もいただくようになりました。ご縁って、本当にありがたいですね。
セッションが続く中、いろいろ想うことは多々あるのですが、やはりカウンセリングの基本の“き”は、「傾聴」に尽きると感じました。

 

「傾聴」とは

カウンセラーの方は耳にしたことがあると思いますし、最近では企業研修や教育現場でも耳にする言葉かもしれませんね。
「傾聴」とは、アクティブ・リスニングとも言われますが、積極的に相手の話に耳を傾けること。なんとなく「話を聞く」という行為って、受け身なイメージがしませんか? それを受け身の姿勢ではなく、聴き手から積極的に聴いていく姿勢のことです。
また、よく「傾聴」の授業でレクチャーされるのは、「聞く」と「聴く」の違い。門構えの「聞く」は、音として認識すること、そして自分の価値観や考え方を持ったままで、相手の話を聞くことです。大抵の方が、この方法で日頃のコミュニケーションをとっています。
もう一方の「聴く」は、【14の心で聴く】と言われたり、【10の目と心で聴く】と言われたりしています。自分の価値観や考え方は脇に置いておいて、相手の話をマルッとそのまま聴き入れる。尚且つ、その奥にある相手の感情・心情までも汲み取って聴く。相手の話に興味を持って聴く姿勢です。

しかし、頭では理解できても、それを実際にやるとなったら、どうするの??…ってところが、難しいんですよね。全員が簡単に傾聴出来ていたら、もっとコミュニケーションのとれる世の中になってるはずです。

 

傾聴のステップアップ

傾聴の技法には段階があります。最初はうなづき・相槌、相手の言葉を繰り返したり言い換えたり。その次に感情の部分を伝え返す感情の反映。そして質問。質問も開かれた質問と閉ざされた質問があります。最後に話のポイントを少しずつまとめる要約。これらを適宜使い分けていきます。
このように、カウンセラーは何をしてるかって、ただ単に話を聞いているわけではなく、小さな技法を意図的に使うことで、クライアントの頭と心の整理を一緒にしながら聴いているんです。絡まっている糸を、少しずつ解いていくイメージ。


また、うなづき、相槌、繰り返し、言い換えなどの小さな関わりを重ねていくことで、クライアントとの信頼関係を築いています。「あなたの話を聴いていますよ」とか「あなたの話を理解していますよ」という姿勢を伝えることで、クライアントは安心して話すことができ、それが2者間の信頼関係へと繋がっていきます。

 

 

傾聴は土壌をほぐすことと同じ

傾聴がしっかりとベースで出来ていないと、いくら技法を使っても相手の中に入っていきません。

例えば、新しく花を植えようとして種を蒔く前に、土を耕しますよね?傾聴とは、まさに土を耕す作業のこと。硬い土は種を受け入れません。ふかふかの土でないと、種も撒けないし、水も浸透していきません。相手の心の土壌をほぐす役割と効果が傾聴にはあります。
この土壌をほぐすことを丁寧にしていないと、信頼関係が浅いままなので、深い話しをしてもらえなかったり、心を開いてもらえなかったりします。そうすると感情を打ち明けてもらえない=思考だけで話が進むので、カウンセリングが深まらないのです。

 

技法は練習で使いこなしておく

様々な技法がありますが、この技法に囚われるとカウンセリングが不自由になります。いつでも「ここぞ!」という時に、すっと差し出せるのが望ましいと思います。ただ、すっと差し出すためには、自分が使いこなしていないと出すにも出せませんし、自然な流れで使えません。

幸いにも私にはセッション仲間がいて、練習する場があります。そこで何度も何度もやることが、すっと差し出せるための道のりなんだなぁ…と、ふと思いました。

目的は自分の技術の向上ではない。立派なカウンセラーになるためではない。目の前のクライアントの成長をサポートするための技法でしかないのだ。だから目的が「自分のため」に帰属するのであれば、もはや援助職はやってはいけない。

 

自分の価値観を脇に置く

始めに書いたように、簡単に出来ていたら、世の中はもっとコミュニケーションが深くなって、人との信頼関係も深まっているでしょう。簡単じゃないからトラブルが起きたり、私たちのような仕事がお役に立てる機会があります。自分の価値観を脇に置くっていうのも、カウンセラーの仕事です。この仕事の重要性を、私はとても大事にしています。
自分のかけている色眼鏡を知っておく。知らないでカウンセリングすると、自分の価値観で相手を判断してしまいます。そのために、自分の中身を空っぽにして相手を受け入れること。これが超大切。自分という器を使って、全身でクライアントを受け容れ、クライアントの感情に共感する。そして、カウンセラーも自身を偽ることなく、ありのままの姿で一人の人間としてクライアントの目の前に存在すること。カール・ロジャーズの傾聴の3条件「無条件の肯定的尊重・共感的理解・自己一致」は、ほんと大切。基本の“き”を発言する前に吸い込む空気みたいな感じ。

 

「傾聴」に立ち返ろう

人の心は繊細で、そんな簡単に分かるわけがない。「自分の苦労がわかってたまるか」とか、「この悲しみを一言で片付けないで」と思うクライアントは当然いるし、むしろそういう人ばかりです。自分がクライアントであってもそう思う。自分の悩み、不安やマイナスな感情、これまでの経験や苦労など、そう簡単に分かってたまるか!と思うけれど、カウンセラーの関わり方の姿勢次第で、信頼関係が深まってくるので緩和していく。

だからこそ、最初から丁寧な関わりが大切なんだよね。「聞く」はカウンセリングの場においては雑な関わり方。それでは何も深まらない。やっぱり傾聴がカウンセリングやグループセッションで肝になってくるし、その先の展開を変化させていく。

今一度、この重要性を見直そう。もう一度、基本に立ち返ろうと思った、今日この頃であります。

 

Written by まついゆか

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まつい ゆか心|Mind綴|Blogここ最近、大変ありがたいことに、ファシリテーターやカウンセリングのお仕事もいただくようになりました。ご縁って、本当にありがたいですね。 セッションが続く中、いろいろ想うことは多々あるのですが、やはりカウンセリングの基本の“き”は、「傾聴」に尽きると感じました。   「傾聴」とは カウンセラーの方は耳にしたことがあると思いますし、最近では企業研修や教育現場でも耳にする言葉かもしれませんね。 「傾聴」とは、アクティブ・リスニングとも言われますが、積極的に相手の話に耳を傾けること。なんとなく「話を聞く」という行為って、受け身なイメージがしませんか? それを受け身の姿勢ではなく、聴き手から積極的に聴いていく姿勢のことです。 また、よく「傾聴」の授業でレクチャーされるのは、「聞く」と「聴く」の違い。門構えの「聞く」は、音として認識すること、そして自分の価値観や考え方を持ったままで、相手の話を聞くことです。大抵の方が、この方法で日頃のコミュニケーションをとっています。 もう一方の「聴く」は、【14の心で聴く】と言われたり、【10の目と心で聴く】と言われたりしています。自分の価値観や考え方は脇に置いておいて、相手の話をマルッとそのまま聴き入れる。尚且つ、その奥にある相手の感情・心情までも汲み取って聴く。相手の話に興味を持って聴く姿勢です。 しかし、頭では理解できても、それを実際にやるとなったら、どうするの??…ってところが、難しいんですよね。全員が簡単に傾聴出来ていたら、もっとコミュニケーションのとれる世の中になってるはずです。   傾聴のステップアップ 傾聴の技法には段階があります。最初はうなづき・相槌、相手の言葉を繰り返したり言い換えたり。その次に感情の部分を伝え返す感情の反映。そして質問。質問も開かれた質問と閉ざされた質問があります。最後に話のポイントを少しずつまとめる要約。これらを適宜使い分けていきます。 このように、カウンセラーは何をしてるかって、ただ単に話を聞いているわけではなく、小さな技法を意図的に使うことで、クライアントの頭と心の整理を一緒にしながら聴いているんです。絡まっている糸を、少しずつ解いていくイメージ。 また、うなづき、相槌、繰り返し、言い換えなどの小さな関わりを重ねていくことで、クライアントとの信頼関係を築いています。「あなたの話を聴いていますよ」とか「あなたの話を理解していますよ」という姿勢を伝えることで、クライアントは安心して話すことができ、それが2者間の信頼関係へと繋がっていきます。     傾聴は土壌をほぐすことと同じ 傾聴がしっかりとベースで出来ていないと、いくら技法を使っても相手の中に入っていきません。 例えば、新しく花を植えようとして種を蒔く前に、土を耕しますよね?傾聴とは、まさに土を耕す作業のこと。硬い土は種を受け入れません。ふかふかの土でないと、種も撒けないし、水も浸透していきません。相手の心の土壌をほぐす役割と効果が傾聴にはあります。 この土壌をほぐすことを丁寧にしていないと、信頼関係が浅いままなので、深い話しをしてもらえなかったり、心を開いてもらえなかったりします。そうすると感情を打ち明けてもらえない=思考だけで話が進むので、カウンセリングが深まらないのです。   技法は練習で使いこなしておく 様々な技法がありますが、この技法に囚われるとカウンセリングが不自由になります。いつでも「ここぞ!」という時に、すっと差し出せるのが望ましいと思います。ただ、すっと差し出すためには、自分が使いこなしていないと出すにも出せませんし、自然な流れで使えません。 幸いにも私にはセッション仲間がいて、練習する場があります。そこで何度も何度もやることが、すっと差し出せるための道のりなんだなぁ…と、ふと思いました。 目的は自分の技術の向上ではない。立派なカウンセラーになるためではない。目の前のクライアントの成長をサポートするための技法でしかないのだ。だから目的が「自分のため」に帰属するのであれば、もはや援助職はやってはいけない。   自分の価値観を脇に置く 始めに書いたように、簡単に出来ていたら、世の中はもっとコミュニケーションが深くなって、人との信頼関係も深まっているでしょう。簡単じゃないからトラブルが起きたり、私たちのような仕事がお役に立てる機会があります。自分の価値観を脇に置くっていうのも、カウンセラーの仕事です。この仕事の重要性を、私はとても大事にしています。 自分のかけている色眼鏡を知っておく。知らないでカウンセリングすると、自分の価値観で相手を判断してしまいます。そのために、自分の中身を空っぽにして相手を受け入れること。これが超大切。自分という器を使って、全身でクライアントを受け容れ、クライアントの感情に共感する。そして、カウンセラーも自身を偽ることなく、ありのままの姿で一人の人間としてクライアントの目の前に存在すること。カール・ロジャーズの傾聴の3条件「無条件の肯定的尊重・共感的理解・自己一致」は、ほんと大切。基本の“き”を発言する前に吸い込む空気みたいな感じ。   「傾聴」に立ち返ろう 人の心は繊細で、そんな簡単に分かるわけがない。「自分の苦労がわかってたまるか」とか、「この悲しみを一言で片付けないで」と思うクライアントは当然いるし、むしろそういう人ばかりです。自分がクライアントであってもそう思う。自分の悩み、不安やマイナスな感情、これまでの経験や苦労など、そう簡単に分かってたまるか!と思うけれど、カウンセラーの関わり方の姿勢次第で、信頼関係が深まってくるので緩和していく。 だからこそ、最初から丁寧な関わりが大切なんだよね。「聞く」はカウンセリングの場においては雑な関わり方。それでは何も深まらない。やっぱり傾聴がカウンセリングやグループセッションで肝になってくるし、その先の展開を変化させていく。 今一度、この重要性を見直そう。もう一度、基本に立ち返ろうと思った、今日この頃であります。   Written by まついゆか心の対話ファシリテーター|企業研修講師|実現プロデューサー まついゆか 公式ブログ